MICEトレンド, 戦略

2020年6月30日

「危機が新しい日常を生む」ソフトバンクグループのオンライン株主総会 SBG孫正義 会長兼社長

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ソフトバンクグループは6月25日、東京汐留の本社ビルでオンライン株主総会を開催した。

「人類は過去、多くの危機に直面してきたが、そこから新たな日常が生まれた」「19世紀に大流行したコレラによって約100万人の人々が亡くなった。それを解決するには安全な水が必要であり下水道が整備された」「1929年の世界恐慌では経済が大きく破綻。約1,300万人が失業した。雇用創出のためにニューディール政策が打ち出され、水力ダムや道路の建設で雇用が増え、そこから電気、自動車が発展した」と、孫社長は語る。

 

バイトダンスのダウンロード数は3ヶ月で3.2億回

 

今回の新型コロナ危機は世界で900万人の人が感染、人との接触が制限された。これを解決する新しい日常として、「デジタルシフトが一気に加速する」とし、具体例として孫社長はデリバリー、診療、教育、エンタメ、会議、ショッピングをあげた。ショッピングではアリババをはじめECの取扱高が一気に増えている。フードデリバリーでは、ソフトバンクグループのファミリーカンパニーであるUberEatsが利用者を前年比52%増やした

オンライン診療では2020年1月20日〜2月10日の短期間で、平安好医生の述べ利用者数が11.1億人になった。オンライン教育プラットフォームの中国Zuoyebangは、2020年4月のアクティブユーザー数が1.37億人になり52%増えた。エンタメではバイトダンスがわずか3ヶ月でダウンロード数3.2億回を達成した。これはWhatsApp、Facebook、Instagramを抜いてトップとなった。

オンライン会議ではSlackの利用企業数が12.2万社(28%増)に達した。また新型コロナの治療薬、ワクチン分野では、VIRがAIを利用して開発を進めている。VIRは数億回のコンビネーションを行い、数千個の治療用抗体を特定し、その中でもっとも有力な2個の抗体で今年の夏に臨床試験を行うという。「すごく期待している」と孫社長は話す。「新型コロナウイルスは人々に大きな危機をもたらているが、最新テクノロジーでその危機の解決を図る」と強調した。

ソフトバンクは大丈夫か?

 

2020年3月期の決算で、ソフトバンクグループは史上最大の営業損失を出し、株主から「ソフトバンクは大丈夫か」との声が多く寄せられていると表明した。

戦略的持ち株会社となったソフトバンクグループが追う最重要指標として、孫社長は「営業利益ではなく、株主価値である」との考えを示し、コロナ前と今の株主価値の推移を説明した。コロナ前の2019年12月末時点での株主価値は23兆円だった。新型コロナにより2020年3月末時点では21.7兆円に減少。「1.3兆円減ったことにすごく責任を感じている」(孫社長)とした。一方、2020年6月24日時点では23.3兆円となり「コロナ以前よりも増加している」(孫社長)とし株主の不安解消につとめた。

財務戦略として長らく足を引っ張ってきた米スプリントはTモバイルに保有株式の2/3を売却。出口戦略に差しかかったことで投資の結果を説明、2.1兆円の投資が現時点で3.6兆円の株主価値となり、IRRは25%だったとした。またソフトバンクグループが本年3月に発表した4.5兆円の資金化に関しても、「今回の売却で80%達成。残りの20%もほぼ確定している」と自信を見せた。

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世界ナンバー1のスーパーコンピュータ「富岳」にもarmが採用

 

孫社長は、ソフトバンクグループが保有する会社の中で戦略的中核会社としてアリババとarmの2社をあげた。アリババは順調に利益を伸ばし(2020年3月期の税引後純利益2.1兆円。42%増)、armはチップ出荷数が二次曲線で飛躍的に成長している(1,660億個)。

armを使った製品は、スマホ、ゲーム機、家電製品と多々あるが、特に最近はクラウドを支えるサーバ分野が伸びているという。クラウドのナンバー1はアマゾンのクラウドサービスawsだが、「アマゾンのawsがarmの採用を決定」「armのサーバ分野のシェアは今年4%だが、今後、awsのライバル企業も省電力のarmを採用せざるをえなくなる」とし、サーバ分野のarmのシェアが一気に伸びると見通しを示した。また先ごろ発表された、スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキングで世界1位となった理化学研究所と富士通の「富岳」。富岳は、16万のCPUを同時稼働でき、京の3倍の消費電力で処理速度は100倍だとし、これにもarmチップが搭載されていると説明した。

川本さんの厳しい指摘にタジタジ・・・

 

続いて株主からの質問に回答。「役員報酬が他社と比べて高い。報酬額はどのように決めているのか?」との質問に、「役員報酬はこれからもおおいに払っていきたい。むしろ増やしたい」と強調した。「会社の企業価値を伸ばすには必死で働く。リスクを取る。その結果、企業価値が増えたら、増えた部分の何%かはそれに一番貢献した社員や幹部に気前よく払っていくことが自身の考えだ」とした。「日本企業は報酬体系がまだまだ低い」とも加えた。

「取締役候補の中で孫社長の突っ走りに待ったをかける役員はいるのか」との質問には、今回新たに取締役となった川本裕子氏とのビデオ会議でのやりとりを例に挙げ、「川本さんからかなり厳しい指摘をいただき、後藤君と私がタジタジになった・・」とした。「川本さんは早稲田で教授をされ、金融界の専門家としておおいに活躍されているので、今後さらに深い見識と厳しいご指摘をいただきたいと思う。楽しみだ」と感想を述べた。

多くの質問に回答した後、アリババのジャック・マー氏がソフトバンクグループの取締役を退任し、孫社長自身もアリババの取締役を退任すると表明した。

(BizMICE編集部)

なお今回のオンライン株主総会と前日に開催されたソフトバンク株式会社のオンライン株主総会は、MICEプラットフォームもサポートしている。

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