異業種交流

2018年5月14日

午後の紅茶とポッキーがコラボ 従来にはない味、パッケージが誕生 二宮倫子×坂本弥光トークイベント

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2018年3月23日、「キリンビバレッジと電通の女性社員が語る、成功するコラボ企画の作り方 二宮倫子×坂本弥光 トークイベント」が、青山ブックセンター本店のイベントスペースで開催された。当イベントは、本年2月に刊行された『ブランドのコラボは何をもたらすか~午後の紅茶×ポッキーが4年続く理由~』(宣伝会議)刊行記念で開催されたもの。キリンビバレッジの二宮氏、電通の坂本氏が登壇し、プロジェクトの体制やルール、コラボ商品のコンセプト作り、商品開発からプロモーションまで語られた。

 

アジェンダ

  • コラボに重要なプロジェクトチーム編成とルール
  • 午後の紅茶とポッキーを同時に食べると何味に?
  • キスからヌケ感へ
  • コラボを成功させるキーワードトーク

 

コラボに重要なプロジェクトチーム編成とルール

 

左:キリンビバレッジの二宮倫子氏 右:電通の坂本弥光氏
左:キリンビバレッジの二宮倫子氏 右:電通の坂本弥光氏

 

二宮氏は、現在、キリンビバレッジ マーケティング部門で商品開発や広告制作を担当、今回のコラボは第二弾と第三弾に参加。坂本氏は電通で広告制作、商品開発、デザイン、ブランディングなど複数領域を貫通したクリエ―ティブを担当し、このコラボでは立上げから第三弾まで参加している。

「何か面白いことできないですかね」とキリンビバレッジ(以下、キリン)と江崎グリコ(以下、グリコ)、両社の部長の雑談からこのコラボが誕生した。最初は、どのブランドでコラボするか決まっていなかったが、話を進めていく中で、「午後の紅茶とポッキー、両ブランドには共通点が多いことが分かってきた」とキリン 二宮氏は話す。「両商品のメインターゲットは20~30代女性、市場のポジションはナンバー1でロングセラー商品。さらにロングセラーは伝統を守らなければいけない点が多くありつつ、マンネリ化を打破するサプライズを起こす必要がある点などで、午後の紅茶とポッキーのコラボが決まった。」とキリン 二宮氏は語る。

ブランドのコラボは何をもたらすか ~午後の紅茶×ポッキー が4年続く理由~
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「午後の紅茶とポッキーは、ロングセラーブランドだけに、多くの知見を持っている。そんな中で、どういった新しいことを打ち出せるかを考えた。プロモーションで新しい広告を打つだけでは、せっかくのチャンスなのにもったいない。そこで商品開発からコラボすることにした」(電通 坂本氏)とした。

さっそく、プロジェクトチームが編成された。参画企業は、「キリン、グリコ、さらに両ブランドの広告コミュニケーションを担当していた電通の3社」。「ものづくりは最初、メーカー側である程度固めてから広告会社に入ってもらうことが多いが、今回は最初からチームに入ってもらった」「でも、1年目は広告出稿しなかった(笑)」とキリン 二宮氏は話す。

「広告ありきではなく、商品自体が広告塔となってニュースになっていくような商品づくりを目指した。それは私たちにとっても大きな挑戦だった」と電通 坂本氏は答えた。

メンバー編成は、両ブランドのターゲットを睨んで20~30代の女性社員で構成された。この編成の狙いとして、「ターゲットユーザーが同世代なので、ユーザーインサイトを正しく理解できる」点を挙げた(キリン 二宮氏)。

チームが編成されると、ルールを決めた。

「コラボというと真っ先に思いつくのが、ポッキー味の午後の紅茶、午後の紅茶味のポッキー、これだけは絶対にしたくない」(キリン 二宮氏)。「ゼロベースでつくることを心掛けた」(電通 坂本氏)。

そういったコラボを否定するわけではなく、キリンでは別ブランドとのコラボでそういった取り組みは行っているという。ただし今回は、「一過性のお祭りコラボにするのではなく、ユーザーインサイトをきっちりと把握して長期間続くコラボにしたかった」「一緒に商品のコンセプトを立てて、商品を作るというスクラム・コラボにチャレンジしたかった」(キリン 二宮氏)とした。

さらに、コラボ商品は、「自分達もターゲットなので、最終的には自分達の感覚を大事にしよう」というルールも課した。両者の部長(紅茶部長、チョコ部長)からは、「左脳だけでマーケティングをするな。女子のチームだからこそ思いつける、右脳が反応する商品にすること」と言われていた。

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午後の紅茶とポッキーを同時に食べると何味に?

 

第一弾の商品パッケージがスクリーンに投影された。パッケージは、2商品を並べると新しい絵柄が生まれるという、ペアリングパッケージのデザインだ。「飲料とお菓子ではパッケージの質感も違うため、あわせた場合の統一感は相当苦労した」と電通 坂本氏は振り返る。

第一弾のコラボ商品パッケージ
第一弾のコラボ商品パッケージ

 

ペアリングは、パッケージだけでなく、味覚でも行った。

第一弾は、午後の紅茶とポッキーを食べ合わせるとアップルパイになる味覚にした。「アップルパイに決まったはいいけど、アップルパイを分解すると、アップルとパイに大きく分かれる。すぐに、どちらがアップルを担うか問題が勃発した(笑)」と電通 坂本氏は話す。

一緒に食べると3つ目の味覚が味わえるサプライズ感の演出だったが、単品で購入されることを踏まえて、片方だけ食べてもおいしいと思ってもらえる味覚にすることも同様に意識したという。

結果、以下のような構成になった。

午後の紅茶とポッキーでアップルパイに

 

味覚におけるこの食べ合わせは、第四弾まで続くDNAになったが、最初は食べ合わせるというアイデアはなかった。

では、どうやってこのアイデアは生まれたのか?

「そもそも、両ブランドとも甘い商品。甘いものと甘いものの組み合わせを食べたいか?と質問すると、食べたくない!と答えるメンバーが続出した」と電通 坂本氏は振り返る。

味覚設計会議が暗礁に乗り上げる中、ある時、「プリンと醤油でウニになるような、食べ合わせで全く新たな味が生まれる話をしたところ、それだ!と一同が盛り上がった」(電通 坂本氏)。

話は一気に進み、「プロジェクトメンバー女子15人ぐらいで大阪梅田にある阪急のデパ地下に、スイーツをたくさん買いに行った。どれが2つに分解できるかを調べていった」(坂本氏)とした。「でも、分解できないスイーツも買いましたよね!(笑)」とキリン 二宮氏がすかさずツっこむと、「調査と称して買った(笑)」(電通 坂本氏)とし場内の笑いを誘った。

 

第一弾の反響として、SNSで話題になったのは、パッケージだった。前述のように午後の紅茶とポッキーを並べると、王子様とお姫様が出会うデザインになる。「王子様同士の組合せがBOYS LOVEをイメージさせるなど、消費者同士が遊んで、SNSで拡散していった」とキリン 二宮氏は話す。

午後の紅茶とポッキーがコラボするというだけで、ニュースになったが、それよりも、「王子様と王子様が手を繋いでいるという遊びの拡散力が大きかった」とした。

さらにこのペアリングパッケージは、小売の棚取りでも効果を発揮した。「通常、午後の紅茶は飲料売り場に、ポッキーはお菓子売り場に置かれている。今回は、特設スペースを設けてくれる店舗や、また、飲料売場にポッキーが、お菓子売り場に午後の紅茶を置いてくれる店舗が非常に多かった」と電通 坂本氏は語る。

「飲料売場にポッキーが置かれていることってすごく重要なことで、なぜかというとポッキーが置かれている分、そこに他の飲料が置かれない!という目に見えない効果もあった」「また、こういうことをやると限定商品だけ売れるのではと思われるが、そうではなくて、普段、午後の紅茶を忘れていたけど、このコラボ商品が目に入り手にしつつ、さらにその横にあるキリンのストレートティーやレモンティーといった定番商品もついでに手に取ってくれることがわかった」とキリン 二宮氏は語る。

小売店舗の棚取り

 

「コラボ商品に力を入れたプロモーションもしていくが、それがブランドにとって一時的な花火になっていないかを気にしてきた。その時期、定番商品も一緒に売れることがわかり、最近は、意図的にそれを狙うプロモーションを設計している」と電通 坂本氏は語る。「1年目で気づき、2年目でそれが確信に変わった。社内全体でも、このプロジェクトへの関心がどんどん高まっていった」(キリン 二宮氏)とした。

 

” キス ” から ” ヌケ感 ” へ



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