MICEトレンド

2020年5月24日

新型コロナでイベント業界はオンライン化が加速。アフターコロナでこの流れはどうなる?

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わずか半年前、東京オリンピック、パラリンピック2020の1年延期を予想した人はいただろうか?プロ野球やJリーグはじめ展示会、企業イベント、セミナー等、数々のMICEが中止・延期になると想像した人はほぼいないだろう。それほど新型コロナウイルスはイベント業界に大きな打撃を与えている。「3、4月の売上はほゼロ」と語るイベント会社の担当者、「研修や新卒採用の予定が大幅にずれている」と嘆く人事担当者は数多い。では、アフターコロナでイベント業界はもとに戻るのか?戻すために何をすべきか?を考察した。

新型コロナウイルスにより開催予定のイベントは大きく2つの対応に分かれた。延期や中止、もしくはオンラインでの開催だ。大規模イベントは前者が多く、中規模以下のイベントは後者が多くなっている

弊社(MICEプラットフォーム)にも、「オンラインで株主総会やプレス発表会、セミナー等を開催したいので支援してほしい」という依頼が急増している。そこでまずはオンラインMICE(イベント)とリアルMICE(イベント)、それぞれのメリット、デメリットを調査してみた。結果は以下の通りだ(下表参照)。

メリット デメリット
オンラインMICE 即座に実施できる 視聴者の反応を把握しづらい
低コストで実現できる 質疑応答等、双方向の配信時は手間暇がかかる
エリア関係なく集客できる 質疑応答等、視聴者と直接コミュニケーションが取りづらい
事前収録等の活用で時間を有効に活用できる ネットワークや機器のトラブルで配信できないリスクがある
視聴状況を分析できる(定量データの収取能力が高い) 視聴者のターゲティングがしにくい
リアルMICE 視聴者の反応をダイレクトに確認できる 会場予約等、準備に手間暇がかかる
質疑応答がやりやすい コストがかかる
参加者と直接名刺交換等、コミュニケーションが取れる(定性データの収集能力が高い) 実施日に制約がかかる場合がある(会場の空き次第)
参加者の本気度(わざわざ足を運んで会場に行く)がある 集客が悪いと当日の会場内は席がガラガラとなりマイナスイメージになる
クローズドなイベントも実施可能 集客対象エリアに制限がかかる

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オンラインイベントは、リアルイベントに比べて、「気軽かつ低コストで開催できる」「定量データを把握しやすい」「エリアに関係なく多くの方にアプローチできる」といったメリットがある。デメリットは、「来場者の反応を掴みづらい」 「深い情報をヒヤリングしにくい」といった点を挙げる主催者が多かった。

これらを踏まえると、アフターコロナではイベントの目的や中身に応じて、オンラインかリアルか、またはハイブリッドかを選択した方が良いと言える。

具体的には、「多くの方に何かを伝えたい、共有したい」といった目的のイベントは、参加対象者のエリアに絞られることなく、視聴者数や視聴時間といった定量データで効果を計れるオンラインがよく、また、「質疑応答等で参加者の反応を直で知りたい」や「参加者の課題感を深く知りたい(主にBtoBイベント)」等の目的がある場合はリアルが適していると言える。両方実現したい場合は、両方を実現すれば良い。

ただ、リアルイベントの強みが、今後もオンラインで実現できないかというと必ずしもそうとは言い切れない。5G新たなテクノロジーの登場でオンラインイベントでもリアルイベントの強みを発揮できるようになる可能性は十分ある。たとえば従来オンラインイベントでの質疑応答は、質問者からチャット等の文字情報で受け付けることが多かった。しかし今は、質問者に生の声で質問してもらい、講演者が回答するといったコミュニケーションも可能になっている。

◆参考)ソフトバンク株式会社 2020年3月期決算説明動画

https://www.softbank.jp/corp/news/conference/webcast/?videoId=6156008400001

こういった動きはオンラインイベントへの流れを加速させることになる。アフターコロナで、そうならないためには、主催者が感じているリアルイベントの業界課題(デメリット)を解決する必要がある。つまり主催者サイドのイベント開催時におけるアナログ業務をデジタルトランスフォーメーション(DX)する必要があるのだ。「気軽に効率的に開催できる」がリアルイベントの戦略キーワードになる。それにはイベント開催場所となる施設やホテル、ホールをはじめイベント関連サービスを提供する企業側のデジタル化も必要だ。

新型コロナウイルスの影響がまだ続く中、今がこういった動きを取るチャンスかもしれない。リアルイベント業界全体が、この方向に進んでいくことで業界全体の社会課題が解決され、業界全体のさらなる活性化につながるのではないだろうか。(BizMICE編集部)

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