2017年11月21日、貸会議室のTKP田町で新世代IoT/M2Mコンソーシアム 主催「情報交換WG」セミナーが開催された。当セミナーには、ソフトバンクグループのSBイノベンチャー conect+ project プロジェクトリーダー 坂井洋平氏(IoTイントレプレナー)が登壇。ソフトバンクの新規事業制度ソフトバンクイノベンチャーを利用し、自身が3度、IoT事業を立ち上げた経験を語った。そこにはイントレプレナーならではのメリットや苦しみが・・。その講演内容をレポートする。
アジェンダ
- 3つの新規事業 農業IoT、電力IoT、IoT生成アプリ
- 新規事業で陥りがちな3つのパターン
3つの新規事業 農業IoT、電力IoT、IoT生成アプリ
坂井氏が最初に立ち上げたのは、農業IoT。現在は、e-kakashiというブランド名で事業展開している。同事業はJA、自治体、農家を対象とし、農業に関する技術的知見と各地域の環境情報をクラウド上で融合させ栽培支援を行うサービスだ。
2008年、坂井氏ら3名で同プロジェクトが発足。ただ、最初から栽培支援を目的としていたわけではなく、最初は、鳥獣被害対策としてイノシシやシカをITで捕まえるという事業だった。
当事業は、「何が農場を荒らしているのか」というファクトをつかむ調査から始まった。
坂井氏らプロジェクトチームは、まず農場に遠隔カメラを設置した。鳥獣は夜中に作物を狙うことが多く、モーションディテクトを使い、夜中、動くものを撮影した。ここで最初の壁にぶち当たる。「カメラの精度を上げすぎると短時間で数万枚の写真が撮れたり、逆に悪くすると1枚も撮れなかったり・・」と坂井氏は当時を振り返る。試行錯誤の末、ちょうど良い精度に調節できると、多数のイノシシやシカが農場を荒らしていることが判明した。
つぎに、イノシシやシカをどう捕まえるか?の課題だ。
坂井氏らは、農場のある一定エリアに網を張った。そして遠隔カメラでそれを監視、イノシシやシカが映ったらボタンを押し網で捕まえるという仕掛けだ。仕掛けはうまく機能し、多い時には10頭ぐらい捕まえることができた。捕まえたイノシシやシカはその場で駆除されたという。
こういった活動を続けていく中で、ソフトバンク社内から動物を捕まえ駆除する事業をやるべきかどうかの議論も湧き上がる。坂井氏自身も葛藤を抱くようになった。「この頃からお肉を食べる時、ありがたみを感じるようになりましたね」としみじみ語る。
そしてピボットを決意。鳥獣対策から農家の栽培を支援する今の事業へとシフトしたのだった。
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